18日目、夜行列車を降りたら北欧だった。コペンハーゲンからスウェーデンの田舎町へ
おはようございます。朝7時、コペンハーゲン中央駅に着きました。予定より30分くらいの遅れです。
前の晩、ハンブルクを23時56分に出た夜行列車。眠れたような、眠れていないような、よく分からない一夜でした。昨日と今日がひと続きになっていて、日付が変わった感じがしない。なんだか変な感覚です。
今日の予定は、コペンハーゲンの観光地をできるだけ回って、午後には海を渡ってスウェーデンへ入ること。夜は、スウェーデン南部の小さな町に宿を取ってあります。デンマークの滞在は、半日だけです。

ニューハウンの運河沿い。カラフルな家が並び、岸には自転車がずらりと停まっている
ゴミひとつ落ちていない駅
列車の中は、バックパッカーだらけでした。駅に降りても、目の前にバックパッカーの集団がいます。私の隣の席のバックパッカーは、ガーガーいびきをかいて寝ていました。夜中にトイレに行くとき、まったく起きないので、乗り越えて行きました。
コペンハーゲン中央駅に降りて最初に思ったのは、駅がめちゃくちゃきれいだ、ということです。ドイツの駅と比べても、ずっときれい。ゴミひとつ落ちていません。
美術館や博物館が開くのは、だいたい10時から。それまで、まずはコーヒーで目を覚ますことにしました。入ったのは、駅の中のマクドナルドです。背景がマクドナルドにしてはごつすぎますが、ちゃんとマクドナルドです。
頼んだのは、フィルターコーヒーとシナモンバン。それぞれ20クローネでした。アメリカーノより10クローネくらい安かったのでフィルターコーヒーにしたのですが、これで全然おいしい。シナモンバンもめちゃくちゃおいしい。この時点で、デンマークの印象は星3つ以上が確定しました。
物価がめちゃくちゃ高いと聞いていたデンマークですが、合わせて40クローネなら、日本の普通のカフェくらい。意外とそこまで高くないのかも、とひと安心しました。ところが、カードの手数料なども入れて計算し直してみると、たぶん950円くらい。マクドナルドのコーヒーと、ごく基本的なシナモンバンで、です。日本の高めのカフェならそのくらいしそうですが、ここはマクドナルド。この国でちゃんとした食事をしたら、恐ろしいことになるんじゃないか。ちょっと怖くなりました。
自転車の国の、穏やかな朝
中央駅から3駅ほど、近郊電車に乗ってウスターポート駅へ。ここで驚いたのが、自転車のための空間の広さです。車両には自転車のスペースがあって、自転車が3台並んでいます。向かいのホームの電車にも、ちゃんと自転車のマークが付いている。駅のエレベーターも横に広く、自転車が丸ごと2、3台入りそうな大きさです。自転車国家なんだな、と感じる徹底ぶりでした。私はあまり乗らないのですが。
駅を出ると、すぐ公園です。ベンチに座ってひと休み。目の前を、ランナーや自転車の人が通り過ぎていきます。
ハンブルクでもそうでしたが、大きな都市の中央駅のまわりは、少し怪しげな雰囲気になりがちです。それが北欧に来ると、ストックホルムでもここでも、治安がいいように感じられる。ベンチに座っていても、ここにいてまったく問題ないんだ、という安心感があります。穏やかな時間が流れている国だな、と思いました。物価が高いことだけを除けば、この国はきっと最高です。
物価の話でいえば、こんなにスウェーデンが安く見えたのは初めてです。旅の最初に降り立ったときは「高いじゃん」と思ったのに、デンマークを経験すると、まだ安いほうに思えてくる。早くスウェーデンに入って、ご飯はスウェーデンで食べたい。そんな気分になりました。

カステレットの堀。土手の緑と水面が、曇り空の下に続いている
人魚姫と、星の形の要塞
公園の先は海沿いの遊歩道です。最初に出会ったのは、翼のある女性の像が立つ大きな記念碑でした。第一次世界大戦で命を落としたデンマークの船乗りたちのための記念碑で、1928年に除幕されたものです。台座には、機雷に触れて沈む船と、救い出される船乗りたちが彫られています。
その先で、観光客がたむろしています。お目当ては、アンデルセンの童話でおなじみのリトルマーメイド。1913年に除幕された、岸辺の岩に座るブロンズ像です。近づくと、こんな感じ。正直に言うと、さっきの記念碑のほうが立派でした。
すぐそばにあるのが、カステレットという要塞です。17世紀に築かれた城塞で、まわりを堀に囲まれています。上から見ると角に稜堡の突き出た星形をしているそうで、ドローンがないのが残念でした。
宮殿の衛兵と、大理石の教会
次に見えてきたのは、アマリエンボー宮殿。いまもデンマーク王室の住まいとして使われている宮殿です。正午には衛兵の交代式があって、イギリスのバッキンガム宮殿のようなものです。まだ10時半ですが、衛兵が歩いている様子が見えました。広場の真ん中には、馬に乗った王様の像。フレデリク5世の騎馬像です。
朝10時半なのに、観光客がめっちゃいっぱい。夜行列車明けでなかったら、私は絶対まだ寝ている時間です。
宮殿の真後ろに建っているのが、フレデリク教会です。緑のドームが、通りの先にどーんと構えています。スカンジナビアでいちばん大きい教会のドームで、直径は31メートル。18世紀の半ばに建て始めたものの工事が止まり、ようやく完成したのは1894年だそうです。装飾も豪華で、さすがの存在感でした。

アマリエンボー宮殿の側から見たフレデリク教会。緑のドームが通りの正面にそびえる
デザイン博物館とニューハウン
そのまま歩いて、デザイン博物館デンマークへ。1757年にできた病院の建物を使った博物館です。
館内には、貝殻のような形をしたオレンジ色の椅子が置かれていました。展示は、デンマークのテキスタイルプリントの100年をたどるものや、カップ・ランプ・ベンチといった身近なものから「よいデザインとは何か」を考えるものなど。ずらりと椅子が並んだ、椅子のコレクションのポスターも飾られていました。

デザイン博物館で見かけた、貝殻のような形のオレンジ色の椅子
デンマーク家具の歴史を紹介するパネルによると、「デンマーク・モダン」が世に出たのは1949年、まさにこの博物館でのことでした。家具職人の組合が毎年開いていた展示会を、アメリカのジャーナリストが見に来て、記事にしたのがきっかけだったそうです。デンマークの家具が世界に知られていく、その出発点に立っていたわけです。
博物館を出て、ニューハウンへ。運河沿いに、黄色、赤、ピンクとカラフルな家が並びます。コペンハーゲンと聞いて思い浮かべる、あの景色です。岸には自転車がびっしり。ここでも自転車の国でした。
30分で、もうスウェーデン
午後1時前、コペンハーゲン中央駅に戻ってきました。ここからは少し急いで、マルメへ向かいます。マルメに行けば、もうスウェーデンです。
列車に乗って30分ほどで、マルメのトリアンゲルン駅に到着。あっけなく、スウェーデンに入国しました。降り立った瞬間、テンションが上がりました。駅がコンクリートの打ちっぱなしで、無機質で、めちゃくちゃかっこいいのです。近未来の都市空間みたい。トリアンゲルン駅は、2010年に開通した地下の鉄道トンネル「シティトンネル」の一部としてできた駅です。駅舎から興奮させてくれるとは、スウェーデンの鉄道は最高です。

マルメのトリアンゲルン駅の入口。ガラスのドームの下に、地下へ降りるエスカレーターが並ぶ
お昼は、マルメで話題になっているブリトーのお店「Burrito Friends」へ。具がぎっしり詰まったブリトーです。スウェーデンでご飯を食べたい、という朝の願いが、さっそく叶いました。

Burrito Friendsのブリトー。ほぐした肉とライス、コーンがぎっしり
駅に戻る前に、スーパーのICAに寄ってから、次の町へ向かいます。
青空の大学町、ルンド
マルメから北へ電車で20分ほど。ルンドという町に来ました。
ルンドは歴史の深い町です。中世には大司教座が置かれ、その教会の管轄はスカンジナビア全体に及んでいたそうです。16世紀の宗教改革で、それまでの学問所は廃止されました。そして1666年にルンド大学ができ、いまは学生が中心の大学町として栄えています。
宿へ向かう電車まで、少し時間があります。町の雰囲気は穏やかで、過ごしやすそう。気に入りました。
町の中心には、どっしりとした石造りの大聖堂が建っています。そのまわりの芝生の緑がきれいです。今日は青空。昨日のリューベックと違って、雨も降ってきません。もう最高です。

ルンド大聖堂。青空の下、芝生の上に石造りの大きな聖堂が延びる
アジア人は来たことがあるのか、という町
ルンドの駅から、電車で1時間弱。ヘスレホルムの方面へ向かいます。特急から普通列車に乗り換えて、たどり着いたのは、本当にアジア人なんて来たことがあるのかというくらいローカルな町、ヘストヴェーダです。
なぜこんなところに来たのか。理由はひとつ、宿代がめちゃくちゃ安かったからです。ほかの町の宿と比べて、ここは「一泊6000円くらい」。バスやトイレは共用ですが、一応プライベートルームです。破格です。
部屋に入ってみると、ものすごく昔のスウェーデンの家、という感じでした。木の壁に、小さな絵。窓からは光が差し込んでいて、間接照明をつけると、木の壁がいい味を出して温かみのある空間になります。宝箱みたいな鍵の付いた置き箱まであって、中から財宝が出てきそうです。
キッチンやトイレ、シャワーは共用ですが、数も十分で困ることはなさそう。シーツや枕カバーは自分で付ける仕組みで、それが安さの秘訣なのかもしれません。
オーナーは気さくなおじさんで、「どんな旅だったの?」といろいろ質問してくれました。いい宿に当たりました。
ハンブルクから夜行列車で移動してきて、正直、睡眠はほとんど取れていません。今日は早めに寝ることにします。おやすみなさい。
この日に出ていったお金:13,415円 50万円の残り:94,393円