途中

2日目、来ないバスを待った。国境の町ハパランダまで

ストックホルムを夜に出た列車は、13時間かけてスウェーデンを一気に北へ上っていきます。この日の最終目的地は、フィンランドとの国境の町ハパランダ。途中のボーデンで乗り換える予定でした。

座席で越えた一晩

座席で一晩を越すのは、思っていたより体力を使いました。夜中の2時にも3時にも目が覚めて、次に気づいたのは朝の6時10分ごろ。リクライニングは100度くらいまでしか倒れず、体はバキバキです。この夜の「宿」は、エコノミー症候群との闘いでした。

列車はちょうど北部の町ウメオのあたりを走っていました。窓の外は、針葉樹の森と湖。ひたすらそれだけで、景色はほとんど変わりません。この区間の車窓には、期待しすぎないほうがいいです。

飽きて、食堂車へ向かいました。メニューに英語が併記されていたのは、ありがたかったです。パンは前日にCOOPで買ってあったので、ここで払ったのはコーヒーだけ。食堂車で食べるより、3分の1くらいの値段で朝ごはんが済んだ気がします。それでもコーヒーだけは、淹れたてが飲みたかった。カフェインがないと頭が動かない人間なので、これは必要経費です。

夜行列車の窓から見えた、スウェーデン北部の草原と森

夜行列車の窓から見えた、スウェーデン北部の草原と森

湖をいくつか越えると、列車はヨーンという小さな町に止まりました。人口は600人ほど。それでも駅自体は昔からあるようです。このあたりは「北の聖書地帯」と呼ばれていて、ほとんどの村に祈祷所があるそうです。

線路沿いには、白い花がまとまって咲いていました。たぶんエルダーフラワーです。初夏の花で、スウェーデンではシロップにして、炭酸で割って飲むらしい。そういえばIKEAでも売っていた気がします。

乗るはずの列車が、運休していた

ボーデンに着く少し前、車内アナウンスが流れました。ボーデンから北へ、国境を越えてノルウェーのナルヴィクまで行く列車が、今日は運休。代わりにバスを出すそうです。私はナルヴィクに行くわけではないので、そのときは他人事でした。

スウェーデン北部、ボーデン中央駅の木造の駅舎

スウェーデン北部、ボーデン中央駅の木造の駅舎

11時すぎ、乗り換えのボーデン中央駅に到着。駅舎の通路の壁には、エドワード・ホッパーのようなタッチの絵が描かれていました。

ところが発車案内を見ると、私が乗るつもりだったハパランダ行きも計画運休で、バスでの代替運行になっていました。出発は12時すぎ。まあ40分くらい待てば来るだろう、と思っていました。

ボーデン駅の発車案内板。列車の行き先と時刻、運休を知らせる案内が表示されている

ボーデン駅の発車案内板。列車の行き先と時刻、運休を知らせる案内が表示されている

駅前は、すごい人だかりでした。本来なら夜行列車でナルヴィクまで行くはずだった人たちが、急にバスへ乗り換えることになったらしい。紫色のバスに長い列ができていて、見ていて気の毒になりました。そのときの私は、まだ自分のほうがもっと待たされるとは思っていません。

来ないバスを、待ち続ける

午後2時半。私はまだ、同じ駅にいました。乗り継ぐはずだった代替のバスが、なぜか来ないのです。

問い合わせてみると、次の列車は夕方5時の便。この区間の列車は1日に2本しかなく、その便は今のところ予定どおり来るとのことでした。しょうがない。旅にトラブルはつきもの。そう自分に言い聞かせて、駅で待ちました。

急に予定が変わるのは、お国柄なのかもしれません。2時半から5時すぎまで、結局、駅で何時間も過ごすことになりました。

7人しか降りない駅

やっと乗れたのは、ノールトーグ(Norrtåg)の列車でした。区分は普通列車なのに、最高時速は200キロ。スマホで速度を測ってみると、200キロを超える数字が出ていました。試験走行では303キロまで出たそうで、普通列車とは思えない車両です。

途中のカリックスを過ぎて、終点のハパランダに着いたのは18時40分すぎ。降りたのは、私を入れて7人だけでした。

ハパランダの駅舎

ハパランダの駅舎

ハパランダ駅を発車する列車は、上りと下りを合わせて1日に7本だけ。そのわりに駅舎はびっくりするほど大きく、きれいに手入れされています。誰もいない構内を歩くと、「スウェーデンの列車へ」と書かれた案内や、カフェの表示が残っていました。

この駅は1918年に開業しました。国境の駅として、立派に造られたのだそうです。第一次世界大戦のころ、この国境はドイツとロシアを結ぶルートの途中にあたり、1917年には、レーニンも対岸のトルニオを通ってロシアへ帰っていきました。

その後、旅客の扱いはいったん終わり、長いあいだ貨物の線路として使われていました。2021年4月、ノールトーグが旅客列車を復活させます。コロナ禍の2020年だったら、私はこのルートでは来られなかったかもしれません。そう考えると、ありがたい話です。

駅を出て宿へ向かいます。時計は夜7時近いのに、日が沈む気配はまったくありません。

高いミートボールと、サウナ

ここでカメラの電池が切れてしまいました。ここから先は、スマホの写真だけが頼りです。

ハパランダは人口1万人に満たない小さな町で、中心街といっても、見て回るところは正直あまりありません。そのなかで、ひときわ立派な赤い建物がありました。1900年に建てられた老舗ホテル「ハパランダ・スタッズホテル」です。かつては町の役場も兼ねていた建物で、地元で知らない人はいないホテルらしい。せっかくなので、ここでスウェーデン料理を食べることにしました。

夕食をとったハパランダ・スタッズホテルの入り口

夕食をとったハパランダ・スタッズホテルの入り口

ふらりと入ったバーは、年配の地元の人たちでにぎわっていました。スウェーデンで造られたIPAが85クローナ、スウェーデン名物のミートボールが225クローナ(3,555円)。パンとディルバターは、お通しのように無料で出てきました。

レストランで飲んだIPA

レストランで飲んだIPA

マッシュポテトとベリーソースが添えられた、スウェーデンのミートボール

マッシュポテトとベリーソースが添えられた、スウェーデンのミートボール

ミートボールには、ベリーソースと、グレービーのようなソースがかかっていました。IKEAのミートボールよりはもちろんおいしかった。でも、3,000〜4,000円を出す価値があるかと聞かれると、正直そこまでではありません。

あとで分かったのですが、私はメニューが読めないまま、キッズメニューを頼んでいたようです。お店の人は何も言わずに、大人用のサイズで出してくれていました。ビールのお供にキッズメニューを頼む24歳。お店の人からすれば、なかなかぶっ飛んだ客だったに違いありません。

この調子で明日の朝と昼も外で食べたら、さすがにまずい。夜9時半、地元のスーパー「ハンドラーン」で水と茶葉、ビール、パンを買って宿に戻りました。

泊まったのは1泊6,000円ほどの個室で、宿にはサウナがありました。スウェーデンらしい体験ができて、この値段なら文句なしです。星をつけるなら、5点満点をあげたい宿でした。


この日に出ていったお金:12,672円 50万円の残り:296,938円

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